冬の陽② あなたのカケラが飛んできて刺さる /2005.2


・冬の陽(2) --- あなたのカケラが飛んできて刺さる

 

 

あなたのそれは
この まつげのすき間からこぼれて
そっと旅立ちました


どこか遠い国で
パンになるかもしれません
靴になるかもしれません
花になるかもしれません
だれかのあくびや
林檎のつるになるかもしれません

 

いつか
可愛いみなしごが
あなたのもとを訪れたなら


そのときは
どうか
抱きしめてあげてください

 

 

 


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(※2005年2月) 2.6

 

 「読もうか」のあとの記憶がない。目があいたのは明け方。ちょっと口をつけただけの紅茶はすっかり冷えて、ストーブは止まっていた。
 夢を見た。マックウィーンみたいな人の。すっかり忘れていたのに。なんだろう。


 夜、新聞(日曜版)を切り抜きながら、その音に聞き入った。サリサリとコリコリの中間、両方、……和音かしら。
 切り抜いた記事のひとつ、隔週連載の「あたしンち(けら えいこ)」。今回は "みかん"の乙女心が暴走(迷走?)していて面白かった。
 好きな人の何気ない言葉に一喜一憂するのは、乙女に限らないか。男もそうかな。歳とってもそうかな。

 


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(※2005年2月) 2.9

 

 朝から今までドキドキしすぎて、胸がくるしい。
 とりあえず珈琲を淹れて、しかし何も手につかず、いや、それなりに手は動かしているし、バルコニーを走り回ったりもしていた。
 ご飯を食べていかないと……とは思うけれど、とてもそんな。なんだかもう胸がいっぱい。 
 おちついて、おちついて……と言い聞かせても。今日ばかりは心臓がいうことをきかない。
 もぉ。どうしよう。どうなっちゃうの。 

 

 

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(※2005年2月) 2.14

 

 ようやく。ヘッドホンが直った。もう駄目なのかしら、もうおしまいだわ……と思い詰めていたのだけど、どうやら、助かったのらしい。
 さっそく音楽祭りを敢行。しばらく封印してあったあの曲の、狂気の四分台をおかわり。おかわりまでしたのはさすがに初めて。自分でも驚いた。
 ここ数週間の曇りが、サーッと晴れていく。


 バレンタインといえば。数年前のこと。「チロルチョコでも。いや、麦チョコでもいいから!」と友人にねだられて、ほんとうに麦チョコをあげたことがある。せっかくだから笑ってもらおうと思って。
 満面の笑みで「はい♪」と渡したところ、「……。」と一瞬絶句してから、少し引きつったように笑っていた。 ちょっとひどかったかなぁ。
 でも、あのくらいハッキリする方が(こちらとしては)気持ちいい。 男は騙されたい(曖昧を好む)のかもしれないけど、
 騙すなんてエネルギーの要ること、好きな人以外にはできないし、好きな人を騙すなんてできるはずもない。どうしても麦チョコ(あるいは一粒チョコ)vs 気合の入ったチョコ、のどちらかになってしまう。