/名も知らぬ詩 2002年。 ・クローバー /チキンライス /カラスがおうちにかえるころ /午後の森で /ハナレグミ。眠りの森
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・クローバー (2002.10)
きのうはひどい雨でまいっちゃったな。ん、濡れたって平気よ。踏まれても犬のおしっこかけられても千切られてもクローバーはクローバーなことに変わりないんだし。ね、お嬢ちゃん、その四葉どうしてできたか知ってる?踏まれたりして傷つくと四葉になりやすいの、おもしろいでしょ。あらちっとも聞いちゃいないみたいね。まぁいいわ。ほら、あの辺にもあるよ、探してごらん。
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・チキンライス (2002.10)
赤いごはん甘すぎて
とり肉うえっとなりかけて
グリンピース冷たくて
でも左手は
なぜか『おいしい手』
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・カラスがおうちにかえるころ (2002.12)
そのとき
あたしね、んとね、どんぐり 穴あいてないの 探してて。
おいら、散歩に行きたくて、小屋の前を行ったり来たりしてた。
わたし、お母さんのセーターのすそにつかまってお米研ぐのをみてました。
ぼくは、スガポンと二人乗りして三つめの公園に行くとこだった。
チーちゃん、幼稚園のおトイレこわいくって、ママ来るの待ってたんの。
ごぉーーーんおんおん… お寺の鐘が 鳴りました
みんな いっせいに振り向きました
そして あっ と声をあげました
なぜって
あんなに お空があんなに 燃えているんだもの
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・午後の森で (2002.10)
うさこ :「ねぇ、愛って何かしら?」
こまどり:「どしたのイキナリ」
うさこ :「何かなぁっておもって」
こまどり:「そーねぇ…」
りす :「きっとハート型してるわ」
うさこ :「やわらかい?」
りす :「うん、そんで暖かいの」
うさこ :「いいもの?」
りす :「すっごくいいとおもう」
ふくろう:「そうとも限らんよ」
くまごろ:「どんな味がするんだろ」
こまどり:「食べ物の話じゃないよ…」
りす :「きっと甘いわ」
うさこ :「どんなふうに?」
りす :「綿菓子みたいかも」
くまごろ:「いーなぁ」
ふくろう:「そうとも限らんよ」
うさこ :「じゃあ苦いの?」
ふくろう:「いろいろだ」
くまごろ:「いろんな味が揃ってるのかぁ」
こまどり:「あんたねぇ…」
くまごろ:「食べてみたいなぁ」
ふくろう:「ひとりじゃ味わえんものだよ」
うさこ :「どこにあるのかしら」
りす :「みたことないもんね」
くまごろ:「食べたいなぁ」
うさこ :「ふくろう爺さんは見たことあるの?」
ふくろう:「さぁねぇ。忘れたよ」
くまごろ:「あっ、ひとり占めするつもりだな」
ふくろう:「それは無理ってもんだ」
くまごろ:「じゃあ一口おくれよぅ」
ふくろう:「それは…むずかしいな」
りす :「うーん。愛ってむずかしいのね」
ふくろう:「まぁ、あれだな、うん」
一同 :「なに??」
ふくろう:「それはまた今度。 ワシは夜にそなえて寝るよ」
一同 :「ちぇーっ」
ふくろう:「ほっほっほ…」
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