名も知らぬ詩&日記、2002年、11~12月

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・木枯らし一号 (2002.11)


ええ ほんとうに
すっかり寒くなっちゃって

それね 図書館のところのいちょう
きれいだから栞にとおもって

なにか お話をきかせてくださいな
ぽつりぽつりでいいから

そうそ お湯わかしましょう
それともミルクを温めましょうか


あ わすれてた

んと


おかえりなさい

 

 

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・どんぐり列車 (2002.11)


「こちらでよろしいのですか?コンパートメント…小さな客室もございますが。…はい。では、どうぞお好きな席へ」


まだすこし時間があるので、説明をさせていただきますね。この列車は『どんぐり列車』『どんぐり号』と呼ばれています。不定期の運行で、行き先は未定のまま出発します。停車するのは駅ばかりとはかぎりません。お客様ひとりひとりの希望する場所・目的地に停まってゆくのです。はい、最後のお客様の降りたところが終点ということになりますね。運賃…切符はですね、ご乗車の際にどんぐり三つか落ち葉を少々ご用意いただければ、どなたでも。ただし、かならずおひとりでいらしてください。

「あ、食堂車は最後部です。列車が走りはじめたらお弁当やお酒の車内販売もいたしますので。はい、お菓子や蜜柑も」

…えと。どこまで説明しましたっけ。そうそう、おひとりで、まででした。これには理由はないんです。なんとなく。あと、この列車の変わっているところは、時間軸に関係なく走れるところ。たとえばお客様の希望する場所が現在の時間軸ではないところ…ひらたく言うと過去や未来ですね、はい、行けるんですよ。この場合は追加運賃というか追加どんぐりをいただいております。

「あの、寒くなりましたら、座席のひじかけに小さなボタンが… はい、そちらの。ご自分の好みで調節なさってくださいね」

え、どんぐり列車はどこから乗れるのかって。…そうですね、目をとじて、こころから行きたいと願う場所、そしてこの列車のことを思い浮かべてみてください。しばらくすると遠くから、ポー・コロコロ・ポー…、変てこな汽笛が聞こえてくるので、すぐにわかりますよ。


『ア、アー、こほん。…乗客の皆様。当列車にご乗車いただき、まことにありがとうございます。どんぐり列車、まもなく発車いたします…』

では、そろそろと行ってまいります。あなたも、気が向いたらぜひ。

 

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・みみあて (2002.11)


もしかして こわいの?

 

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・てぶくろ (2002.11)

 

この夜のどこかで君は

 

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・毛布 (2002.11)

 

あの灯りは ちがうよ

 

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・冬の陽 (2002.12)■■


みんなすっかりわすれておいで

裸足でスキップしておいで

ぼくはうたをうたうから

きみはわらうだけでいい

みつばちみたいにハッピーに

みなしごみたいにハッピーに

 


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・カラスがおうちにかえるころ (2002.12)


そのとき

あたしね、んとね、どんぐり 穴あいてないの 探してて。

おいら、散歩に行きたくて、小屋の前を行ったり来たりしてた。

わたし、お母さんのセーターのすそにつかまってお米研ぐのをみてました。

ぼくは、スガポンと二人乗りして三つめの公園に行くとこだった。

チーちゃん、幼稚園のおトイレこわいくって、ママ来るの待ってたんの。

 

ごぉーーーんおんおん… お寺の鐘が 鳴りました

みんな いっせいに振り向きました

そして あっ と声をあげました

なぜって

あんなに お空があんなに 燃えているんだもの

 


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・祈り

 

 

 

 

 

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