名も知らぬ詩&日記、2003年1~6月 

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・1.2


 黒豆。皮がぷるんと張って身も柔らか。三年目にして、ついに理想どおりに。砂糖を少しずつ入れたらいいと教えてくれた友人に感謝。

 1日。妹を残して家人と買い物。ファンヒーター、加湿器、ビデオテープ。帰りみち、車で羽田空港をぐるり。5分おきに飛びたつ飛行機、JAS、ANA、つる、つる、何か、ANA。近所の神社でお礼参り(昨年を無事に過ごせたから)。夜、おせちと乾き物をならべて乾杯。家人ビール、妹チューハイ、わたしホットミルク。

 

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・1.4


 妹のいる間、テレビ音量やトイレの順番、「あっ!俺の歌舞伎揚げ(おせんべ)が…」など、家人と妹の間に入って調整。妹が実家へ帰ったあとは家人の赤ちゃんがえり。今日になってようやく気を休めることができた。 と思ったら家人の胃の調子がわるくなり…。こんどはナース役かぁ。

 昨日ファミレスで犬の携帯ストラップを購入。携帯の着信音、ドビュッシーの「夢」「アラベスク第一番」を追加。アラベスクは、たしか『リリィ・シュシュのすべて』に使われていたような… 聴いてると胸がキュウッとなる。
 あの映画の14歳たちは、どうしてあんなに痛いんだろう。14歳って特別な痛みを感じるものなのかしら。いくつだって痛いものは痛いような気もするのだけど。

 

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ハコベ --- 春


 しあわせが こわかった

 

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・緑のこころ (2003.4)


眩むことなく
見切ることなく
すがることなく
憐れむことなく
さえぎることなく
倦むことなく
誇ることなく
おそれることなく

愛したい

 

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・花冠かざして (2003.4)


つよくない

鈍感なだけ

 


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・色水 (2003.4)


青い指その1と青い指その2
ふたつの指がわたしにふれて すぅっと青色がついた
青はにじみ 広がり
わたしのすみずみまで染めようとしていた

なんだかとても冷えてきた
だから お風呂を沸かしている

あのひとが 人を近付けようとしない理由
いま すこしわかった


お風呂が沸いたら
青を お湯にうつしてしまおう
すっかり移しおわったら
すみやかにお湯を抜いて
なにもなかったような顔で髪をふきたい

そうして
山吹の黄色をすこしと
炬燵の赤をちょっぴり
今宵は ほんのりやさしい橙になろう

 

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・滴 (2003.5)


 いまならわかる


 心臓は ここ

 魂は あなたとわたしのあいだ

 


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・無題 (2003.5)


ぽつり

ちいさな雨のひとしずくになって

きみの海に とけた

 


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・カフェ オリエント (2003.6)


「あんた、ストローみたいだ」

聞こえないふりで
ミルクポットの蓋をあけ
卓上花の花びらをかぞえ
冷えた二の腕をさすった


くすぐったいけど
いまの
もういちど言って?

 

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・外はまぶしくて (2003.6)


押し扉に手をかけたら
すっと軽くあいた

正体は君の腕

さきに通れ と
慣れないしぐさ


その ぎこちなさ

ハンカチに包んで
もってかえりたい

 


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・お日様しらんぷり (2003.6)


傘のはしっこ 君のおでこに三回も刺さって
ゴメンナサイと
たたんでしまう

暇になった右手
おもいきって
Tシャツの裾につかまってみる

振り払われたら どうしよう どうしよう


「警察官立ち寄り所」
「スピード仕上げ」
小学館…」

なぜか君は
お店の看板を音読しはじめた


それって いいのかな いいってことかな

 


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OLD FASHIONED LOVE SONG (2003.6)


この傘の色

君はいつまでおぼえているだろう