名も知らぬ詩&日記、2002年、9月

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・瞬 (2002.9)■■


かじった鉛筆の渋甘い味、学校のしょっぱい色のカーテン、図書カードの「済」のハンコ、勝どき橋のぶつぶつ、晴海の野生化したクチナシキンモクセイ、毎月12日、ハイジと同じシュミーズ、夜のおつかい自転車のかご瓶ビールのキンキンいう音、終わった花火の火薬の匂い、貝のボタン、落ちたアイスにたかる蟻、シッカロールのパフ、食べ終わった葡萄を線香花火に見立てる、おっくうな算数ドリル、濃い目のカルピス、水滴、砂漠の絵葉書、ふたつの太陽…

 

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・9.8

 ○ ◎◎◎ あっぷあっぷ カメの水を捨てる ◎ ○◎ 水捨てる ◎◎○ また捨てる ◎◎ …あ、部屋に入れたらいいんだ。

 週間モーニング。今週の「DINO×DINO」泣きそうになった。話のあとに恐竜Q&Aの頁、なんだかとっても得した気分。それで、むかしの「小学○年生」の読み物頁を思い出した。せっせと読んだわりに、記憶に残っているのは「雷は時速400キロで走る」のみ。


 家人は今日、録画した「北の国から(5時間半)」をじっくり見るつもりらしい。「ひとりで見る。入ってきたらあかんねんで?」泣き顔を見られるのが恥ずかしいと言う。…覗いちゃお。「イエー!泣いてやんの~!」って笑っちゃお。

 

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・(メモ) (2002.9)■■※お酒の、おつまみ


よそのサイトで「レーズンバター」。懐かしい。あの塩気と甘酸っぱさ。父親がよく肴にしていた。他にもチーズ、ちくわ&胡瓜、網で海老やししとうや厚揚げをあぶったり、じゃがいもの短冊を炒めてソース味で、とか。ちょっとしたものを、父はいつも自分で用意した。そして私達や母を呼んでは「美味しいよ、食べてごらん」といって味見させた。それはほんとうに美味しくて、母などはマイ箸を出してきて遠慮なく食べた。ほとんど私達に食べられてしまい、父が口にしたのは最初のひと口ふた口だけ、ということもよくあった。父は「そう、美味しかったか」と満足そうに笑っていた。食べさせることが好きな人だった。

あと何があったっけ… さつま揚げをあぶったもの。ホタルイカ、あれを酢味噌で。茹でタコをワサビ醤油で。私はタコの足先がすきで、よく母に「なんで端っこばっか食べるのよ」と笑われた。何でも端っこが美味しそうにみえてしまう。あとは…鯨。鯨のベーコンもよく肴にしていた。辛子醤油で。あれは白と赤の部分があって、私は白が嫌いで赤身がすきだった。母は白がすきなので、白い部分は母にあげた。母は鯨ベーコンや酢ダコのとき「二度づけするなよ…」いつも父に注意されていた。 鯨を食べているとき、テレビでは相撲をやっていて…という光景がつよく残っているのだけど、あれはちょうど今頃の季節だったのかな。鯨ベーコンに旬ってあるのだろうか。

 

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・浮き雲 (2002.9)■■


君が永久に死なないものなら きっと愛さなかった

 

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・(メモ) (2002.9)■■ ■■

「私をどんな型にはめたいのか」…ちがう。型にはめられるというより、自分から型に入ろうとしていたのかも。「家人はどうしたいのか?家人の幸せは?家人の気持ちは?」家人家人家人…… 家人がいて、私がいない。相手の願いを叶えること、相手のきもちを考えることに気をとられ、すっかり自分のことを忘れていた。何年も忘れていた。 …いつごろ、どのあたりで置いてきてしまったんだろう。 家人が浮気をはじめた頃か、それとも初めからか。 「わたし」を。いまから迎えにいったなら間に合うだろうか。呼んだら戻ってくるかしら。

 

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・たき火 (2002.9)●●そんで10円ハゲれ。


君ってば、ちっともなんだもん。もうね、わたし、たき火になっちゃうからね。そんでパチッと爆ぜてやんの。アッツイんだかんね、きっとびっくりよ。 でも君、うぉっ、とかゆって面白がってそう。こおなったらもう、頭に向かって爆ぜちゃうから。そんで10円ハゲれ。 あ、やっぱやだ。10円ハゲった君なんて見たくないもん。 だからね、何が言いたいかっていうと、んと…つまり… 一緒にたき火したいねってこと。もすこし寒くなったらネ。

 

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・(メモ) (2002.9)■■■紡木たく「小さな祈り」

注文しておいた本が届いた。紡木たくの『小さな祈り(集英社文庫)』『かなしみのまち』。そぉっと箱をあけてみる、そのあいだにも温かい液体のような何かが胸から喉元、下まぶたへトクトクと満ちてきて、まるでお風呂のお湯が溢れるみたいに。

フローリングの床にぺたりと座って『小さな祈り』をあてずっぽうにひらくと、鞄を引っぱられた女の子が、おもわず好きな人?の名を叫んでいた。ドキリ。次にひらいたところでは「てめぇ 何さっきから小池の後頭部ばっかみてんだよっ」男の子が吠えている。ドキドキドキ… くるぶしのゴリッという音で我に返った。いつのまにか正座していたらしい。…どうかしてる。こんな、ほんのちょっとの頁をめくっただけでドキドキするなんて、ほんとどうかしてる。

 

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・他愛もない (2002.9)


キンモクセイの香りがね ってしらせたくて。それだけ。 おかしいかな。

 

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・(メモ) (2002.9)■■ 人が、降りてきてくれた

今夜は衛星第2で『華麗なる賭け』(68年。S・マックィーン、フェイ・ダナウェイ)がある。以前観たときにはフェイ・ダナウェイにポーッとなった。あの脚線美と指の細さ、仕草のひとつひとつ……。世の中には男・女の性別のほかに「フェイ・ダナウェイ」という性別があるんだわ、と思った。

ときどき思うこと。自サイトの掲示板やメールを頂いたおりに。「降りてきてくれたんだなぁ…」と。そうして話しかけられると、なんだか、高いところから階段をトントンと降りてきてくれたように感じて、うれしく有り難いきもちになる。じぶんのことを道端の草のように思っているから、じぶん以外の人はみんな『すごい人』で、かけられる言葉はどれも貴重で有り難いものに思える。
そのたびに思い出すのだけど、小さい頃、見知らぬおばぁちゃんに道を尋ねられ、「お嬢ちゃん」と呼ばれてびっくりした事。こんな立派なおばぁちゃんが、こんな子供に、なんてまぁ丁寧な呼び方をするんだろう…と思った(たくさん歳を重ねている人はそれだけで立派な気がしてた)。あのときの嬉しくて光栄でくすぐったいような気持ち、それが今でもときどきあって。こんなにシアワセでいいのかなぁって。


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・9.27 (2002.9)■■永遠と一日


 『永遠と一日』(98年。ギリシャ・仏・伊。主演:ブルーノ・ガンツ)。あらすじ:死期の迫った詩人が、ひょんなことから孤児と出逢い…。

 なんというか……つかめないまま2時間がすぎた。娘の部屋の時計、あの壁にうつる時計が妙に気になったのだけど、あれは何かの象徴だったのかしら。小さい頃に孤児(みなしご)に少し憧れていたことを思い出した。でもほんとうは憧れるまでもなく孤児なのかもしれない。

 詩人の問いかけ「明日の時の長さは?」に対する妻のこたえ、「永遠と一日」(←反転させると見えます)これについてずっと考えていた。これを詩人と妻それぞれの明日の長さとするなら、どちらがどの長さなのか……。どうともとれる気がした。それぞれがどちらかの長さだとは思うけれど、ふたりとも一方の長さかもしれないし。あるいは、答えのなかのふたつが混在したり並行して流れることも。

 

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・永遠 (2002.9)■■


白い小箱から

あの日のどんぐり


ひとつは割れて

ひとつは穴があいて

ひとつは綺麗なまま


わすれない

わすれないよ

 

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・(メモ) (2002.9)


土曜の夜はハンバーグ屋、昨夜はケンタッキー。

家人: 「今週は外食が…ファーストフード食… 何てゆうんやろ?」
私 : 「肉食。」
二人: 「あっははは」
私 : 「これお婆ちゃんも好きなのよ。食べさせてあげたかった。」
家人: 「かった、て。なんで過去形やねんっ お婆ちゃん殺すなよ」
私 : 「あっははは」

家人: 「ほぅ、マヨネーズは体に良いんやて」(テレビ見ながら)
私 : 「……」
家人: 「な?」
私 : 「……」
家人: 「な?」
私 : 「え?うん」
家人: 「あ、人の話ぜんぜん聞いてへん… 肉に夢中やな?」
私 : 「ん?マヨネーズね、うんうん」
家人: 「ええねん…、どうせ俺の事なんか見えてないねん」
私 : 「そんなこと…(あったりなかったり)」
家人: 「ええねんええねん……(のの字)」
私 : 「……(この端っこの塩気が最高♪)」
家人: 「……(ショボーン)」
私 : 「おいしいなぁ♪」

 

 

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