名も知らぬ詩&日記、2002年、1~6月
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・9.27 (2002.9)■■永遠と一日
『永遠と一日』(98年。ギリシャ・仏・伊。主演:ブルーノ・ガンツ)。あらすじ:死期の迫った詩人が、ひょんなことから孤児と出逢い…。
なんというか……つかめないまま2時間がすぎた。娘の部屋の時計、あの壁にうつる時計が妙に気になったのだけど、あれは何かの象徴だったのかしら。小さい頃に孤児(みなしご)に少し憧れていたことを思い出した。でもほんとうは憧れるまでもなく孤児なのかもしれない。
詩人の問いかけ「明日の時の長さは?」に対する妻のこたえ、「永遠と一日」(←反転させると見えます)これについてずっと考えていた。これを詩人と妻それぞれの明日の長さとするなら、どちらがどの長さなのか……。どうともとれる気がした。それぞれがどちらかの長さだとは思うけれど、ふたりとも一方の長さかもしれないし。あるいは、答えのなかのふたつが混在したり並行して流れることも。
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・焼きりんご (2002.10)
やさしいそれのをもっと もっと たくさんちょうだい
うそんこでもいいから
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・アルプス乙女 (2002.10)
もう ほんとうのものしかいらない
おなかすいたっていいの
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・みみあて (2002.11)
もしかして こわいの?
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・てぶくろ (2002.11)■■
この夜のどこかで君は
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・毛布 (2002.11)■■
あの灯りは ちがうよ
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冬の陽 (2002.12)■■
みんなすっかりわすれておいで
裸足でスキップしておいで
ぼくはうたをうたうから
きみはわらうだけでいい
みつばちみたいにハッピーに
みなしごみたいにハッピーに
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・祈り (2002.12)■■
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・海 (2002.3)
どこかの国では
迷いこんできた鯨たちを 爆破するらしい
いろんな事情があってのことらしいけど
なんか 愛を感じた
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・3.15
知らずにいるほうが幸福 ということも
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・白詰草 - シロツメクサ (2002.4)
気付かれてはいけないから
気付かないふりをした
ということを
気付かれていたらどうしよう
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・そんな午後とヘリコプター (2002.4)
ばたん。ガチャガチャ。タンタンタンタン、タンタン。
かしゃん。ズズ、ズ…。キーコキーコキーコ…ギギッギー、キーコキーコ…
ウィーン。 ひたひたひた。「返却ですか?」「えっと、継続で」ピッ。ピッ。「5月8日までになります」
キーコキーコ…ブォー、キーコキーコ、ワンワンッ あらっ、こんにちはー まぁ、どうもー、これから病院なのよー キーコキーコ…
ウィーン。 かしゃん。キュルキュルキュル… いちごたべたーい なぁに? いーちーごーぉ じゃあひとつえらびなさい キュルキュルキュル… 潟直送のなめこ、大粒なめこ、なめこで健康パワー、お味噌汁にサラダに キュルキュル… かなさかなさかなー さかなーをー たべーるとー キュルキュルキュル… こちらどうぞー キュルキュル… ピッ、ピッ、ピッ、鳥揚げ三点500えーん、ピッ、ピッ。「3824円になりまぁっす」「24円あります」ちゃりん。「ありぁとございあしたぁ」
キーコキーコキーコ、ガサガサ、キーコキーコ… カッタン、グシャ。キーコキーコ… ブォー、ブロロロ… キーコキーコ、ガサガサ、キーコキーコ…
ジャー、パシャパシャ。かちゃ。ころん、ころん。「あ、つぶれてる」ころん、ころん… パクッ「う…甘っ」もぐもぐ、ごくん。
ぺた ぺた ぺた、ポチ。ヴンッ …のゲストは…した…このあとは…なごみソングをお送りしま… ごそごそ。カチッ…ふーーぅ バラバラバラ… カタン。ぱしゅ。チゥッ…こくん。 …バラバラバラバラ… 「ふぁーあ。ふぅ」 ラバラバラバラバラ……
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・4.26
寒い日がつづき、カメは岩の穴、私はこたつで丸くなる。
ところでバルコニーの雑草たちはどのくらいあるんだろう。
・ハコベ(大繁殖)
・タネツケバナ
・カタバミ(緑の葉っぱ、黄色い花)
・オオバコ
・丸い葉の謎の草
・イネ科の謎の草×3(うち1つは流木に生えてる)
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・キノコ太郎(草じゃないけど)
※ 野草の画像はこちらのサイトが充実。
最近のお気に入り曲:ジョン・メイヤー『 NO SUCH THING 』/飲み物:カフェラッテ、豆乳
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・4.30
今号の週間モーニングは読みごたえがある。シバオーはいつまで仔犬なんだろう。『バガボンド』に出てくる人物は、どうしてあんなに魅力的なんだろう…新しく登場する人物にもいちいち惹かれる。『クッキングパパ』でジーンとなって、ジーンとなりながら服のボタンをしめていたらイヤホンのコードも一緒にとめてしまった。
半生の桜エビ、賞味期限がせまっているので、今日にでもおからを買ってきて作らないと。前から気になっていたのだけど、私がヒジキやおからを作ると雨になるような。
きのう野菜売り場でセリを見たら、イーハトブの祖母の顔が浮かんできた。 祖母の家で出されたセリのお浸し、箸が止まらなくなり、ひとりでひと山たいらげてしまったっけ。あの味が忘れられなくて、何度か再現を試みている。
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・セリはサッと茹で、冷水にさらす。
・だし汁に酒または味醂を煮切り、それを冷まして醤油、ワサビを加えたところへセリを浸ける
※かすかな甘味を感じたので、砂糖もちょっぴり入るのかも?
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これだけのことなのに、祖母と同じ味にならない。 台所に立って70年の人の味だから、そう簡単には真似できるはずもなく。
ふと思う。もしかしたら私は、セリをとおして、祖母のもっている何か… 体温、気配、意思、たたずまい、そういった、形にならないなにかを、自分のなかに写し取ろうとしているのかもしれない。
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・雨の散歩でみつけたもの (2002.5)
小さな花屋のユーカリ
抜け道として愛されているらしい公園
80円の飲み物の自販機
車の下で雨宿りする白猫
植木いっぱいのガソリンスタンド
土筆と馬酔木と薔薇と草ぼうぼうの空地
白線のうえを歩く癖
おはじき
あちこちで育てられている薔薇
迷子の誰か
曲:DENIECE WILLIAMS『 FREE 』
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・5.17
しらないうちに目から水がでていたり、ごはん食べることをわすれちゃったり。こころが風邪でもひいたのかなぁ。
今夜はポトフをつくって食べよう。 食べるのはどうでもいい。ただ、温かそうな湯気をみるだけでいい。
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・公園にて ■■(2002.5)
芝生だとおもったら、いちめんの野草だった。この公園をつくったひとは初めから野草の野原にするつもりだったのだろうか。もしそうだとしたら、これからもこの公園の草は刈られずにすむ。
あちらこちらに点在する白いもの、それはシロツメクサ。植物は個体数ではなく量だ、という言葉をおもいだす。量なのだろうか。ランナー(地下茎)で繁殖する草… 這うように伸びた茎から根を出し、その根を足がかりにまた茎を伸ばし、そうして子株をふやしながら延々つながってゆく草を見ていると、個体と個体の境界線も曖昧で、どこまでを一株としてとらえたらいいのか分からなくなる。 植物は量、なのだろうか。
早朝の青い空気のなか、ひっそりと呼吸するこの清らかな草、シロツメクサ。いつまでも、いつまでも見ていたい。明日も明後日も、来年も…。ただ、シロツメクサは種の採りかたがわからない。いっそ、株ごと持ち帰ってしまおうかともおもった。好きで好きで、好きなあまり、じぶんのそばに置きたいとおもう気持ちは、たとえば恋にも似ている。そして誰かと付き合うという事は、植物をじぶんの庭なりバルコニーなりに置いて眺めることと同質かもしれない。 けれど、植物に対しては所有・占有することなどは考えの外で、ただただ、眺めたり葉に触れたりしていたい。それだけでいい。
ほんとうに、どうしてなのかわからないけれど、すっかりシロツメクサに捉えられてしまった。他の草も生えているというのに、なぜ、シロツメクサなのだろう。
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・5.21 ■■(草の、掲示板が消えたとき)
バルコニーの雑草たちの近況。
・ハコベ(大繁殖)→ あちこちに。
・タネツケバナ→ 蒔いた種からピョコピョコ。
・カタバミ→ 種ができた。
・オオバコ→ と思っていたらオオバコじゃなかった。あなたは誰?(調査中)
・丸い葉の謎の草×2→ 本葉が出てきた。
・スズメノテッポウ→ 花らしきものが咲き、その種をまいてみた。
・ノゲイヌムギ→ 実のようなものが。
・イネ科の謎の草
・まるっきり謎の草
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・キノコ太郎→ 元気いっぱい。テーブルの脚に白い粒々が… 菌が脚の中をめぐっているらしい。
野草の画像はこちらのサイトが充実。
曲:ORANGE PEKOE『 HAPPY VALLEY 』
※掲示板のログが消失しました。書き込みしてくださった方々、申し訳ありません。おそまきながら新しい掲示板を設置してみました。
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・帽子に手をかけて (2002.5)
ちいさな 飛行機のおなか 青い 青い あおい あ
わすれてた
すき ってこと
なにより
なにより すき ってこと
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・5.29
夕食の会話。
「でね、あぁ、このひと脱皮したんだわ、っておもって」
「ヒトじゃないやろ」
「うん、でもあれね、クモって脱皮するのね? 驚いたわー」
「……(そうやなぁ)」
「ほかに脱皮する虫って、えーと」
「セミとか、蚕とか」
「それは……(羽化 だと思う)」
「おかわり?どのくらい?」
「ちょっとでええよ」
「しっかり食べないと大きくなれないぞ?」
「これ以上大きくなったら困る」
「うーん」
「ちょっと食う量減らそうと思ってな」
家人に限らず、少ししか食べない人をみると心配になる。 それにしても、夕御飯を食べながらクモの話というのも、なんだか色気がないような。
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・雨と (2002.6)
雨がふりそう 東からの風
その さからえない感じ
この むねがいたい感じ
そう そわそわする感じ
なにかに似てる
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・明け空 (2002.6)
しろい空 あおい雲 雲のふちピンク色
そのかたちは色あいは
なにをも超越して
こんなに綺麗なもの
わたしひとりで見てるなんて
だれかに
君に
おしえたい いますぐ
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・月と太陽に (2002.6)
誓ってもいい
あなたがあなたであるかぎり
あなたがそこにあるかぎり
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・ながれて、そして (2002.6)
空のタイムラグ
雲のオペラグラス
水のピアノ
陽射しのサラダ
風のミネラルウォーター
透明のシロツメクサ
白のアノヒト
夢のフリーフォール
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・ひとつ (2002.6)■■
なまえをつけられない想い
なまえをつけないでおきたい想い
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・ふたつ (2002.6)
さくらんぼをコツンと合わせて乾杯しよう。これまでと、いまと、そしてこれからのすべてに。
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・ながれこむ (2002.7)
あなたとだけ話したいことがある。ただ、言葉はいらないようにおもう。あなたと海を見つめるだけでいいようにおもう。