2005.9.6 空っぽの袖で眠る子猫 /いつでもそばにいて触れていたい。 /麦、やせたねぇ


2005.9.6
 午前中。子猫は朝のキッチン探険を終えると座布団に乗ってきて、わたしの右腰にくっついて丸くなった。右手でそっと子猫の肩を抱く。たっぷりめの長袖シャツで、ちょうどいいお布団だ。子猫は目を細めて本寝に入る模様。でもパソコンで日記を書いていたところなのに右手が猫のお布団に……うーん。 あ、こうしよう。 シャツの胸ボタンを三つほど外すと、右袖からそろ~っと腕だけを抜いた。右肩と右腕だけ出して、なんだか遠山の金さんのような姿でキーボードをたたく。


 空っぽの袖とも知らず、子猫は深く眠っている。 そうだ。明日は温かい珈琲を淹れよう。秋冬に飲んでいたあの珈琲を。 麦に教えてあげよう。『いい香りでしょ♪ これねぇ、珈琲っていうのよ』って。

 

 

 起きてるかな。寝てるかな。暑くないかな。寒くないかな。この頃は何をしていても子猫が気になってしまう。さっきなどは「これだけは聴きたい」という大切な音楽を聴こうとしたのだけど、一曲も聴き終えないうちに子猫に会いたくてたまらなくなり、ヘッドホンを耳から外し、「麦……」と会いにいってしまった。 ひとときもはなれていたくない。いつでもそばにいて触れていたい。

 


 午後。家人の部屋で子猫とお昼寝。枕元に寝ている子猫の首や背中をなでる。こりこりの肩骨とステゴザウルスのようにカクカクの背骨を指先でたどる。やせたねぇ、麦……。 わたしに触れられた子猫はちょっとだけ目を開き、やわらかな黒目を泳がせると、しずかに二・三度まばたきをして、またゆっくりと目をとじる。 まつげ、こんなに長かったんだ。しらなかったなぁ。