2005.9.5(1) 子猫を自由に /(2)尻尾が、わたしの足元をくすぐる /

2005.9.5(1)

 きのうの動物病院で飲み薬を処方された。朝と夜、粉薬のそれを水で溶いて注射器(針なし)で飲ませる。

 朝。二人がかりで子猫をおさえて薬を飲ませてから、時計を気にしつつパンをほおばる家人。「こっちはアップルパイ??」「こないだ会社で女の子にやったら美味い、もっと食べたい!って言うから持ってくねん」「そう。こんな大っきいの喜ぶね」「おぉ」


 子猫と一緒に家人を見送る。「あとで(子猫を俺の部屋に)仕舞うといてな」と家人が出掛けてからも子猫はずっとキッチンにいる。 キッチンは電気コードも多いし子猫が歩くには危険という理由で、これまでは家人の部屋から出てこようとする子猫を「だめ」と制したり、出てきたところを抱っこして家人の部屋に戻したりしていた。 一昨日あたりからは自由にさせている。(薬以外の)いっさいの禁止を解こう。なぜかそんな気持ちになって。


 昨夜、子猫がキッチンに来ても制止しないわたしをみて、家人が呆れたように笑う。


「何でも許してまうようになって…… よっぽどこむぎ(子猫)のこと可愛いねんなぁ」
「ふふ」
「あと一年やしなぁ」
「まだ検査結果でてないでしょ」
「うん。せやけど先生はもう『その病気ですね』って言うとるし……」
「……」

 

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・9.5(2) ※子猫の尻尾が、わたしの足元をくすぐる 


 家人の部屋しか知らなかった子猫はこのキッチンに興味津々といった様子。耳をピンと立て、目を丸くしながら、なにやら真剣に探険している。 興味つんつんでしゅか?と子猫の背中に声をかけると、ん?と振り向くけれど、またすぐに探険をつづける。カラーボックスの下の段に入ってちょこんと座ってみたり、扇風機の首振りに合わせて頭を動かしてみたり。それでも、わたしが流しに立って洗い物をはじめるといつのまにか足元にきていて、わたしの足首をふさふさの尻尾でくすぐりながら可愛い顔で見上げていたりする。


 ひとしきり探険をした子猫は家人の部屋に戻って丸くなった。あぁ行っちゃった。ちょっと寂しいような気持ち、それを紛らすかのようにコンビニへ。遠回りしてゆっくり歩いていると、左手のどこかからいいにおいがしてきた。たまねぎを炒めて、甘くシナシナになるまで炒めてそこに醤油を加えたところらしい。うっとりしながら歩いていると、こんどは珈琲をたてているらしい香り。くらくらっとなる。久しぶりに珈琲(ドリップオン式)を淹れて飲もうかなぁ。


 夜。猫のお薬セットを持って家人の部屋へ。家人は「そうや忘れとった」と笑いながらPCの椅子から立ち上がると、『内用薬:○○こむぎ 様』と書かれた可愛らしい薬袋をとり、粉薬の袋をピリリとあけ、水で溶きはじめた。わたしもちょっとだけ笑ってから子猫のそばにいってヨシヨシをしたけれど(薬を怖がらせないように)、心臓が変なふうに打って、かすかに手が震えた。 部屋に入ったときに見えてしまった。家人のPC画面が、子猫のオークションのサイトだった。(うちの子猫も家人がどこかのネットオークションで衝動買いしたもの) 家人、もう「次の猫」の算段をしているの……?