2005年、こぼれ種(1~6月)① 

_____________
・字の凹み (2005.1.16)


まだ何か
言い足りないでいる君よ

すきなアイスでも買ってらっしゃい

ついでにわたしのも
チョコミントね チョコミント

なかったら
そぉね

君に まかせる

 


_____________
・P.M. 6:17 (2005.1.16)


日曜の夕方って
どうしてこんな 静かなのかしら

という話を

どうでもいいような そんな話をね
あなたとしたかった


みたいなの、うん


他の人じゃなくてね

 


_____________
・乙女注意報


チョコの包み紙に書きつけたほどの切実を
十分後には
丸めて捨ててウットリしてた


ふたたび
雲行きが怪しい


こんな時間に目覚めて
新しくなってる


真夜中のコンビニへ
アイスを買いに行くんじゃないかって
びくびくしてる


うまいこと
それてくれたら

 

 

_____________
・二月の迷子


迷子の外国人みたいに言葉を使えないあなた
希望するところへは
わたしだけが連れていけるのだと

あの確信はいま
どうしているかしら

忘れられた手袋みたいに
町はずれの道端で凍えているのなら
お水をかけて
もっと凍らせましょう


とりあえずお家に連れ帰って
あぁ どうしよう

うっかりストーブの前に置いて
生き返ったりしてもたいへん

 

 


_____________
・泥の川 (2005. )


ほんの少し
わがままを言えるようになって

何か違う気もして
ぼんやりと見えない


ほんの少し
打ち明けて

どうしてか汚れる気もして
うっすらと悲しい


また少し
近づいて

どこか脆くなる気もして
ふんわりとなれない


むこうへ渡りたいのに
そこで微笑みたいのに

どのわたしがさえぎっているの

 

 

_____________
・白い扉


つぶれたマイナス
こんころこん、

取っ手が取れちゃ
どうにもならない


君からどうぞ
いえ あなたから

ノックしていいか訊くために
ノックしていいかしら

 


_____________
・白い兆し


上着なしで歩いた午後
水色はまだのような気もして
暖かな色の便箋に綴る

うちあけてしまった

夜の底 雨は白い花へ
そうだった
冬の忘れ物はいつも

あの日のことを

ムスカリの蕾は凍えないかしら
昨年はどうだったろう

どうか 失礼と思わずに

ストーブが鳴ってる
手も温かくて とろとろ

なにもかもうまくいくことを

目をつむるまえ一瞬みえた
あの人か誰かの

 

 

_____________
・苺


あの人を君を苦しめるのはいったい
どこまで行けばやわらかい枕

ぽんぽん叩いたら抱っこして耳をつけて
お日さまの話を聞こう


悲しい悲しくない
うれしいうれしくない

 


_____________
・夕方のにおい


今朝の夢をひもといて
君にきかせたい

 なんだそれって笑ってくれたら


こうして微笑んでいるなんて
夢にも思わなかった

 うそばっかり ほんとはそればっかり


あら三時
珈琲でもいかが

 そうそう 一昨日のこと


夕方のにおいがしたら
君にあいたい

 風がね 知らない人みたいなの