名も知らぬ詩、2004年 ②
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・ビターチョコレイト
憐れみも 慰めもほしくない
無口なあなた
もうすこしだけ ここにいて
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・マフラーも忘れて
あんなに勇ましく
とびだしていった君だけど
あの辺りで
心細くなっちゃって
ベソかいてる頃でしょう
お腹だって空いてるでしょう
ご飯 もうすぐ炊き上がるし
帰っておいで
笑ったりしないから
帰っておいで
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・転んじゃった
びっくりしたけど
なんともないよ
あの角を曲がると
大きな門が きっと開いてて
今日こそ
逢えるかもしれないんだ
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・風
失うことをおそれずに
白い花
青い花
緑の花
ねぇ
失う ってどういうこと
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・淡い緑の便箋を
あのときの あなたは
叫んでいましたね
声にならない声で
神はどこにいるのかと
期待していましたね
正しさにすがり
審判をもとめて
ちいさく 震えていましたね
最前線に赴く兵士のように
悲壮な覚悟で
失った気で いましたね
靴跡だらけの
じぶんの影をみつめて
手放そうとしていましたね
荒々しい波に耐えかねて
ひとつしかないものを
ひどく 驚いていましたね
この言葉の
源泉はどこなのかと
その道の先
あのひとが
微笑みをたたえて 待っているとも知らずに