名も知らぬ詩&日記、2003年10~11月 

・声をもたない彼は今朝、 (2003.10)


…いつから
こんな悲しい国に?


痛い  痛い 痛い  痛い   痛い

 

 

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・てのひらにどんぐり (2003.10)

 


冬眠 したいね?

 

森の奥
木のうろ
落ち葉のベッド

 

勾玉みたくまるまって
片耳で木枯らし
てのひらにどんぐり

 

永遠に さめない

 

 


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・11.2


 1日土曜。図書館前の銀杏の木の根元、色つやのよくない低木。そのうちのひとつの根元に鉄板とボルト。そんなもので留めないで。でも、本人(木)は何も言ってない。

 図書館がひらくのを待つあいだ、私の隣りでジャージのおじいさんが足踏み。 扉がひらき、職員が返却ポスト(たぶんキャスター付き)をごろごろと外に出すやいなや、おじいさんはオシッコをがまんしていた人のような勢いで図書館のなかへ飛び込んでいった。

 図書館の入り口にアンケート用紙。職員の態度は、本の在り処はわかりやすいか、などの質問。回答は5段階。とても良い・良い・ふつう・やや良くない・非常に良くない、のどれかに○印をつける方式。 ふむふむと頷きながら○をつけていたら『とても良い』ばかりになった。これではウソっぽいと思い、途中から『ふつう』も織りまぜてみた。よし、本当らしくなった。 帰りみち、変なカタマリみたいなものを胸に抱えて歩く。すっきりしない。

 きょうはカミキリムシだった。新聞のテレビ欄に大きな窓をこしらえた。テレビ欄を見ようとした家人が「うぉっ、無い!?」と驚いて笑う。「きょうは『鉄腕ダッシュ』あるんかな?」と聞くので、切り抜いた紙片をわたすと、「テレビ番、小っちゃ!」とまた笑った。

 

 


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・11.5 (2003.11)

 


 きのうも、おとといも。さかのぼると土曜から。

 美のなかにいた。ただひとつの、美のなかに。

 

 

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・11.7


 東急ハンズの広告。ストーブのところを念入りに見る。ストーブらしい形のストーブが気に入った。

 夜。「温かいスープを飲もう…」という歌をきいて、スープをつくることにした。土鍋でコトコト煮よう。とりモモ肉・ピーマン・パプリカ(橙色)・にんじん・ブロッコリー・キャベツ。 とり肉のアクをすくいながら、あっと思い出して、ローリエの葉を投入。いいにおいの湯気に包まれて、気が遠くなりそう。 塩こしょうと角切りトマトの缶詰とケチャップで味をととのえ、火をとめた。

 スープを作り終えたところで、これはおかずにならないという事に気付いた。今からお肉や魚を解凍しても間に合わない。しかたない。焼き豚でも切ってごまかそう。 スープを味見。よかった、ピーマンの味が消えている。家人はピーマンが苦手なのだけど、これなら大丈夫そう。にんじんの味も消えていてホッとした。私はにんじんが苦手なのだった。にんじんが「にんじんの味」だと涙目になってしまう。

 

 


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・11.14 (カメ冬眠) ※キリストさんも


 ふと思った。
 キリストさんも、たまにはあそこから降りて、炬燵にあたったり、蜜柑を揉んだりすればいいのにな。 あんな格好じゃ寒そうだもの。

 

 ここ2・3日とても寒くて、中国奥地の子供みたいにモコモコと着込んでいる。ウールや化繊が苦手で、綿を何枚も重ねるから。そういえば子供のころは、長袖の肌着を着せられていた。気がつくと袖口から白い肌着がチロッと見えていたりして、うっとおしかった。

 また思い出した。家人の話。ジーパンの膝に穴があいてしまったのだけど、その穴が横に裂けるように広がって「いい感じになったなぁ」と思っていたら、ある日、そこにミッキーのアップリケ(継ぎ)がされていた。「なんやこれ?!」 犯人は家人の母。恥ずかしくてそれっきり穿けなかったという。

 


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・空気をください  (2003.11)


まっすぐに

あなたの言葉に逢いに行く