2005年2月、家人の入院雑記 ② 

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・2.19


 昨夜は友人に電話をして、家人の事を報告したあとお互いの近況や他愛ない話。食事もあれだったのかもね、と言われてドキッとした。家人の食生活をもういちど見直そう。 彼女の声を聴くうちに気力が湧いてきて、また明日も頑張れそうだと思った。感謝。


 夕方、病院へ。昨晩を個室で過ごした家人は今朝から大部屋に。 着替え、洗面用具、箱ティッシュ、吸い飲み(寝たまま飲める蓋つきコップ)、曲がるストロー、携帯ラジオを持参。 家人の体を拭いて、着替えを手伝う。枕元の引き出しに、小銭と家人の携帯、筆記用具を入れておいた。

 家人は、弱々しくではあるけれど普通に喋る。顔色も少し良くなった。目を開ける・首を動かす・寝返りを打つ、起き上がる……などをすると吐き気。トイレへは車椅子で看護婦さんに連れていってもらう。

 その部屋には重い病状の人はいなくて、(家人以外は)皆、立ち歩いたりしている。自販機で缶のお茶をいっぱい買って、部屋の人達に挨拶してまわる。50~60代くらいの話しやすい人達で、「大変だったねぇ。私達もついてるからね、あまり心配しないようにね」などと言ってくれる。

 帰宅。 お腹をすかせていた妹(今日明日うちに泊まる)に夕飯をつくり、二人で食べた。夕飯後、二部屋の暖房をつけた瞬間にブレーカーが落ち、ライターで照らしながら復活。

 そのあと家人の母へ報告メール。「本日の○○さん」の件名で家人の様子を、「今日の検査」で今日受けた検査・今夜から食事が始まったこと等。

 

 

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・同室の人達:(家人の他には4人)

窓際の左の人は、「もうね、(ここに)二ヶ月もいるの。切ったのよ、うん。」と言って、切腹の仕草をしてみせる。 向かいのベッド(窓際の右)を差して「この人はね、今度切るの」と、ふたたび切腹の真似をした。

窓際の右。「今度切る(お腹を)」らしい。挨拶のときは眠っていた。

廊下側の右。眠ってはいないようだけど、ベッド周りのカーテンを閉め切っている。切腹の人に「あちらの方に挨拶したいんですけど…」と尋ねると、『あの人……は、いいから』と小声で言い、手を振った。どうやら気難しい人らしい。

廊下側の左。ベッド脇の椅子に腰掛けて本をひらいたり、廊下や部屋をぷらぷらと歩く。ベッド上には数冊の文庫本が散らばっている。 枕元の写真立てをわたしに見せて、「これね、母親。昨年に死んじゃってね。それで私こうなっちゃった」と言い、ニコニコと微笑んでいる。この部屋には数日前から入り、じきに退院とのこと。

 

 


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・2.20


 昼。家人からメール。「煙草、お箸・スプーン、爪切りをお願いします」。ウォークマン用の布袋に、煙草&ライター・ジッポライターの石・爪切り・耳かきを入れてみた。 もうすぐご飯が炊き上がる。炊けたら、おにぎりをつくって持っていく(家人の希望)。

 家人が入院してからは、一日がお見舞いを中心として廻る。携帯メールで家人からの要望を聞きとり、細かな情報交換をしてから病院へ行き、帰宅すると、今日の家人の様子や検査の有無・種類、今後の流れ等をまとめ、各方面へ報告、明日への準備。そのあと夕飯。ここ数日お腹はすかないけれど、夕飯だけは食べるようにしている。