名も知らぬ詩&日記、2003年、7~9月

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・7.7

 メダカが死ななくなった。ようやくうちの環境に慣れたらしい。残っているのはどれも元気で、安心して眺められる。

 メダカの卵を採って小さな水槽に移した。何日で孵化するかはわからない(天気しだい)。卵とメダカにつきっきり。「卵の番人」という映画があったけれど、ちょうどそんな感じ。卵の中に二つの黒い点。きっと目玉だ。

 灰色で小っちゃくて家人が『しらす』なんて呼んでいたメス、これも卵を産んでいる。そこで、特徴のある子に名前をつけてみた。


しらす→ メス。灰色で小さい。お転婆でくいしんぼう。

・女王様→ メス。いちばん色鮮やかで体が大きい。気位が高い。

アンドレ→ オス。穏やか。ふだんはボーッとして覇気がない。メスには人気あり。

・ふられ番長→ オス。小柄。気が荒い。メスにも強引に迫り、よくフラれている。

・苔姫→ メス。水草についた苔をセッセと食べる。よほど好きらしい。

・幼な妻→ メス。小柄。いつまでも卵をお腹にくっつけたままで(他のメスは水草に産みつける)、卵はカビてきた。ときどき物憂げな表情でたそがれている。

 

 

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・まばたき三回 (2003.7)


今朝 キミの夢をみたんだよ

なんだか すごくあれだった

でも マツゲあんなに長かったっけ?

 

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・0  (2003.7)


グラスの底から炭酸の泡がうまれるみたく

なんにもないところから君を

 


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・飛ぶ  (2003.7)


普段ならぜったいできないようなことが

できてしまう不思議


ときに人は

大きな翼を

 


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・PM9:14 (2003.8)


いま
ほしいのは珈琲の カラン 氷の音

まちがった うそ ちがくて
だから

花火

花火 と

 

 

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・Chega de Saudadei (2003.8)


あなたの漕ぎだす小舟の行く手
その地に住まう神々に
わたしは約束をさせる

うそのない太陽
やすらぎの月
甘やかな空気
心くるむ雨
洗いたての風
すこやかな草木
一日をほどく夕焼け
夢はこぶ星々
朝の鳥の聖歌
いつくしみの人々

わたしは約束をさせる
それらすべてを揃えておくように と

 

 

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・きらきら星 (2003.8)


小さな約束
日付変更線
オヤスミ
またね

明日には消えてしまうような
小さな淡い

 

 

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・無題 (2003.9)


いっそ あなたが植物だったなら

 


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・水 (2003.9)


この唇をつぶしたい
水の色をわらうところだった

この耳を切り落としたい
水源を測りそこねるところだった


あなたの水
どれほどの想いで海に向かっているか

誰より
知っていたはずなのに

 

 

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・ふわり (2003.9)


いつか かるくなっていた

  手放していた


サヨナラ

  わたし もう