名も知らぬ詩、2004年 ④ 

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ハコベ


その白は わたしを

 


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・お湯の沸くまで


ちょっとだけすくった髪
指にくるくる巻きつける

ほどいては
巻きつける

ちょっとだけ痛くなりたくて
ネジ花から空までのこと

 


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・草笛


ことばにできたことなんかいちどだってない

 


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・花便り


お日様のもと
すみれ ハコベ 白詰草

春の便りを読みかえす
白 青 黄 緑


小さく そぉっと深呼吸

胸の破れ目に
春風がしみた

 


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・白い裁きはこの胸に


言葉ではなかった

風はさらっていく
くちびるの痛み


言葉では ない

瞳とじてさえ
白く 白く  白く

 

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・午後  (2004.4.8)


きょうのあなたが

こわくなりませんように
痛くありませんように
さみしくなりませんように

良い音が生まれますように
ふっと微笑みこぼれますように
うつくしく なりますように


そんなことをおもいながら
いつもより丁寧に 珈琲を

 

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・「愛の生活」


その言葉をみた瞬間
白いリボンが降りてきた

ゆるやかな螺旋
空へとつづく白い


泣いてもいいですか

涙をゆるしてください 今だけ


誰のもとにも
白いリボンはあるのだと あるのだと

信じていいのですね