名も知らぬ詩、2004年 ⑥
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・
疑いも恐れも
期待も捨てて
プチシューの山
その穴は見えない
そんなもの見ない
プチシューの天辺
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・日光写真
あなたの刻んでいった愛が
わたしの空を花の刺繍でふちどりはじめました
あぁそれは 色とりどりの糸でしょう
あぁきっと 可愛らしいお花でしょう
五月の風に命じます
洗いなさい ざぶざぶと
吹きなさい さらさらと
真っ白になるまで
白という色も消えるまで
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・○
今宵
いただきにあがりましょう
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・月下の夢
あなたもわたしもいなかった
野原にゆれる草だった
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・天窓の子守唄
剃刀のように痩せて老魚
水よ
やさしくあれ
星のない空をゆるす者
夜よ
やすらかにあれ