2005.9.1 ホウキギク開花 /アリ渋滞 /子猫の名前の由来 /その名をささやいて呼ぶ 

・9.2  ホウキギク開花 /アリ渋滞 /子猫の名前の由来

 

2005.9.2
 バルコニー。ホウキギクが咲きだした。小さいビニールポットに根づいた50センチほどの丈のものは、見るたびに倒れている。いつもそれを起こしてから水やりをはじめる。 アリの行列が、ふだんは一匹ずつなのに、今朝は太い行列でぞろぞろ行進していた。


 夜。「アリの行列がすごかったの、三車線になってた」と報告すると家人は「ほぉ~」と驚いてくれて、「大阪のニッポンバシ日本橋)はな、三車線+三車線なんやけど、車走れるのは一車線だけやねん。二車線ぶんが違法駐車のクルマでふさがっとるから」と言って笑った。

 


 夕飯のあと麦茶ポットを分解して洗った。麦茶は糖分があるから蓋のゴム(パッキンの部分)などがすぐに汚れる。麦茶を飲むのは家人だけで、この2.5リットルのポットは2、3日で空になる。空になるとこうして洗って、新たに作っておく(水出しタイプ)。 麦茶ポットを洗いながら、そういえばうちの子猫の名前もこれだったと思い出す。


 子猫がうちに来て二日目か三日目のとき。夕飯を食べながら名前の相談をしていて、「しかし、ソマリにしては毛色が濃いなぁ」と家人が呟いた。「ちょうどこの麦茶みたいな色ね、あの子」と答えると家人の目がキラーン☆と光った。 「それやっ!『麦』や!」「あら素敵」 家人はばたばたと猫の元へ走り、「むぎ! おまえ今日から『むぎ』やで!」と猫の両肩をつかんで叫んだ。がくがくと肩を揺さぶられながら猫はポカーンとしていて、その顔がまた可愛くて家人もわたしもイーッとなったのだった(親バカ)。

 

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・9.4(1) 2005.9.1(1)


 午後。家人の部屋でお昼寝。わたしは昼寝の習慣はないのだけど、猫と一緒に過ごしたくてお昼寝をするようになった。(子猫はいつもそこで寝ている) ときおり思い出したように鳴る、ゆるめのエアコンの運転音と冷蔵庫の音。
ふと目をあけると子猫はわたしの足元に丸くなっている。聞こえるか聞こえないかの声で「麦……」と発音すると、子猫の耳がぴくっと動く。 いいのよ眠ってて、と微笑みながらささやいて、わたしも目をつむる。子猫の寄りかかっているところ、タオルケット越しにほんのり温かい。

 

 

2005.8.15 「この子、長くないかも」「えっ」/小麦と、麦。 


2005.8.15
 昨夜九時半に寝たせいか、今朝は三時に起きた。早すぎて恥ずかしい。もっとこう、十時くらいに目覚めてけだるげに髪をかきあげ、青白い顔で「朝は弱いの……」とか呟いてみたい。


 夕立があるというのでバルコニーの排水口の点検と、ついでにデッキブラシで藻のついたところを磨いた。しばらくして空を見上げると小型の入道雲。その真ん中にたんこぶ。 カメラ持ってきて撮ろうかなと思ったら、たんこぶはみるみるうちに入道雲の中に沈み、その入道雲じたいも、もくもくと形を変えて普通の雲になってしまった。


 この子、長くないかも……と呟くと家人がエッと振り向いた。このあいだ猫みててフト思ったの、でもわたしすぐ『こんなに可愛いってことは、死んじゃうのかしら』って思っちゃう癖があるから……大丈夫よ、うん。 慌てて説明すると、家人はホッとしたように笑った。 それからわたしが「麦」っていい名前ね、麦は強いからね、と言うと家人が、そうらしいなぁ、でもこいつは「こむぎ」やけどな、と訂正した。 はじめは麦だった。言いにくいから「こ」をつけて「こむぎ」にしようと家人が言い、家人は「こむぎ」と呼ぶ。 わたしはめったに名前で呼ばないけれど、やっぱり「麦」。


 そういえば家人のお盆休みは今日で終わるけれど、バルコニーのテーブル解体はまだ。家人、忘れてちゃってるのかな。

 

 

2025.7.31 あたらしい家族 /子猫 


2025.7.31 
 きのうの夕方。大きめのスーパーで買い物。このところ、週末というと美味しいコーヒーのあるこちらのスーパーに来ている。1リットルのKEY COFFEE(低温抽出珈琲 加糖)6本と牛乳2本。コーヒーは棚にあるだけ買い占めた。もしそこに10本あったら10本買っていたかも。わたしはどんなに好きなものでも「買い占める」ができなくて一つなり二つなり残してしまう。ただし一個しかないとき(一点もの)は別。ごめんなさいと思いつつ買う。家人はそれができる。すまんなぁと言いながら買い占めることができる。

 


 つぎにお中元選び。んーと……。ビールにしよう。わたしはビールの味(各々の違い)を知らないので家人に見立ててもらった。 各種承りカウンターで送り状を書く。人前で字を書くときは緊張してしまう。持参したメモから住所を書き写しながらおでこにうっすら汗が浮かぶ。あぁ恥ずかしい。 そうして思ったのは「著名人やアーティストは大変だなぁ」。人前で書くのが苦手な人だとサインのたびにこんな思いをしているのかも。 以前、ある人にサインをもらったとき「(サインの他にも)あと、何かひとこと……」とお願いしたことがあった。もしかしたら大変な苦行を強いてしまったのかも……。あぁ反省。 だってだって、何か書いてほしかったんだもん。何かと言われても困るだろうけど、それはどんなに下らないことでもよくて。たとえば朝食べたものでも最近ハマっている飲み物でも今日の天気でも、その人の書くものならほんとに何でもよくて。

 


 きょう。新しい家族を迎えるため家人の部屋の掃除・模様替え。家人はタオルを首にかけ、昼からずっと動いていた。夕方からわたしもお手伝い。 数時間後。片付いた部屋をあらためて見渡し、この部屋こんなに広かったのねと驚いた。

 

・麦わら帽子 /2004年4月、NHKライブビート(サンボマスター)。お姫様スカート 

2005.8.31
 朝。こんな格好(Tシャツとパンツ)でまずいかな、大丈夫よね。と朝刊を取るために玄関ドアを開けると、目の前にアフロヘアの男の人。 ひっ、と口に手を当てて硬直。そろーっとドアを閉める。 隣りの人かな。ちょうど廊下を歩いてきたんだ。よりによって、なんてタイミングだろう。み、見られた? いや、わたしの「ひっ」のほうにギョッとしてたみたいだし、見られてはいない。 どうしようどうしよう、失礼なことしちゃった。「俺のアフロヘア、そんなに怖いのかな……」と傷ついてるかも。ちがくてそうじゃなくて、こちらの事情によるものなんです、と胸の中で弁解。こんど遭遇したら曖昧に会釈ぐらいしておこう。 あぁびっくりした。

 

 午後。買物から帰宅して鏡の前に立ち、値札のついた麦わら帽子を合わせてみる。夏も終わりなのにね。両手でそっと帽子をおさえる。あ、前がみえない。 そういえばこの夏はスカートを穿かないでしまった。子供サイズのミニも生成りの膝丈ギャザーも白いお姫様スカートも。夏になったら着ようと楽しみにしていたそれらは、クローゼットの中でしんと眠っている。

 

 白いお姫様スカートはたしか昨年のあの日(NHKライブビートサンボマスター/ラジオで放送されるライブ収録の観覧)に穿いたきり。まだ四月で肌寒い日だったけれど、可愛くしていきたくてあれにしたのだった。 轟音と静寂とが同時に存在するあの不思議な空間で。素肌をしゅるしゅるすべる裏地と足首に触れるさらさらの生地を感じながら、この音はなんだろう、この空気はなんだろう、と戸惑っていた。 楽器の残響音は波紋のようにあるいは眩暈のようにわたしを捉え、床を見つめさせた。床をみつめながら、その床に沈みこみそうな感覚に陥りながら、思ったんだ。どうしてわたしはここにいるんだろう。どうしてわたしはここで聴いているんだろう。なぜわたしは……。って。

 

 

・スモモ /小さな手紙---可愛いひとへ /晴海通り(※2004年)/おにぽて  

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・スモモ


不器用な あなたの 

 

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・小さな手紙 --- 可愛いひとへ (※2005年 こぼれ種 1~6月)


あのおじさん 旅に出て
日曜版を切り抜いて
歯がいたい
タオルケットという幸福


スパゲティ茹ですぎて
こんなとこにきざみ海苔
葡萄がとれて くっつけて
さっきの珈琲


あと

生きててくれて
ありがと

 

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・晴海通り (※2004年)

 

午後のバスは
暖かなゆりかご

君の眠るあいだ
わたしどんなこと考えていたかしら

わたしの眠るあいだ
君はどんなふうにしていたかしら


歌舞伎座 松竹セントラル 三原橋

ここまでくると
あとは早いね


つぎは 銀座四丁目三越前

『降ります』押します?
でも どうしよう 君はまだ


小さな寝息を抱いたまま
ゆりかごは四丁目を過ぎて

 

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・おにぽて

 

ひらがなで書くと可愛い


やだ ごめんなさい

ちょっぴり可笑しいの

 

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・2018 映画はじめ /ジャッキー・チェン「カンフー・ヨガ」 

 


 2018.1.3

1.3(水曜) ・ジャッキー初め

 

 年末、ジャッキー・チェンの映画を見に行こうと思い立った。「カンフー・ヨガ」という題名からして駄作の匂いがするけど。
 でも、ジャッキーを映画館で見るなんてこの先もうあまりないだろうから、やはり見ておかなければ。


 行きの電車に揺られながら、映画館で映画を見るのは十何年ぶりだなぁと思う。最後に観たのは横浜で友人と「踊る大捜査線2」。
 劇場には上映の20分前に着いた。チケットを買い、何度も何度もそれを眺める。
 入場のアナウンスを待つ間、目をつむって、中学生だった頃に名画座などへ赴いてジャッキーの映画を見ていたあの気持ちを思い出そうとしたけれど、ぼんやりとしてよく思い出せない。


 上映10分前となり、入場が始まる。階段のランプを見ながら指定された座席を探して座る。やや後ろの右手。そうだった、名画座は空いていたから、いつもこの辺りから観ていたっけ。
他の座席を見渡すと、女性と男性、半々くらい。みんなわたしと同じかもっと年上の感じ。
持参したお茶を飲みながらスクリーンをなんとなく眺める。最新作の色々な映画の予告が入れ替わり立ち代わり、いつまでもいつまでも続く。ジャッキーは?ジャッキーはまだか?
 ようやく始まった。あぁ、ジャッキーだ。ジャッキーちょっと歳とったかなぁ、でもいい顔してる……。
 それにしても、カンフーが出てこない。いつまでたっても出てこない。後半となりカーアクションはしているけれど、カンフーは?ジャッキーのカンフーは?……。
 ……あぁ、これは駄目だ。ついに耐えきれなくなって、ラストを待たずに席を立ち、劇場を出てしまった。
ロビーには次の回のお客さん達が大勢待っていて、この人たちみんなジャッキーを見に来たんだ、と嬉しく思うと同時に、この人たちこれからあれをみるのか、と気の毒に思った。
帰り道、空気が凍りそうに冷たくて震えながら歩いた(予想最高気温8度)。
 感想:うーん……。カンフー不足。


 帰宅して、「退屈だったよ……。あなた行かなくて正解。」と友人に報告。
 なんだったんだろう、今日のあれは。でも……チケットの半券をみると、やはり行ってよかった、と思う。顔を見られただけでいい。
 そして録画しておいた「ラッシュアワージャッキー・チェンクリス・タッカー)」を見た。とりあえず気持ちが落ち着いた。

 

 

 

・麦  (2005.7.17) 


なにかの草をちぎって
町の外れまで歩いて
叱られたことと一緒に海に投げた
風がこうきて うまく飛ばなかった


塀と道のすきまに花火みたいな花
あの子が浮かぶ
なんでだ?

 

 

夏はもうあれで 決まってるんだけど
プールとか 田舎とか
あの家とおばあちゃんのにおい
とうもろこしがいっぱい茹でてあるんだ 毎年


あの子んとこもそうかな
とうもろこしとか好きかな 好きだといいな

 

 

ばーか

そんなんじゃねぇよ